【短編集】communication
「音の鈍感。俺は、音が小さい頃からずっと好きだよ。音にさ。彼氏できる度、ショックだった。でも、俺が最後の男になるんだって言い聞かせた。」


「なんの。冗談?私をカラカって楽しい?」


信用できなかった。


今更、遅いんだよ。


龍だけは、つき合えない。


漠然とした答え。


「誤魔化すな。本気だよ。音が手に入るならなんでもするよ。」


真剣な目。


本気なんだ。


「私は、汚い。だから、龍みたいな人とは、つき合えないよ。わかって。」


私は、泣きそうになりながら言った。


「音は、汚くない。」


龍は、私を押し倒した。


「ダメ!ダメなの。」


私は、必死に抵抗した。


龍は、お構いなしに行為をはじめた。


適うはずがないんだ。


男の力に。


私は、涙が流れた。


私は、なんて無力なんだろう。
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