【短編集】communication
side 香子


う〜ん。


悩むなぁ〜。


チーズケーキで決定だけど。


私は、類くんから聞いてからずっと上の空。


授業も全部終わってしまった。


「香子、どうしたの?」

うたが話しかけてきた。


「なんでもないよ。ただ、バレンタインの事で悩み中なの」


ため息をつきながら言った。


「香子は、料理うまいからなんでもOKじゃん。」


「そうよ。私なんて、リクエストに答えて作るからいいけどさ。苦手なんだよ。」


音も話にはいってきた。


「まあ、作るものは決まったけどね。でも、蓮はかわいいのに甘いの苦手なのよね。」


私がそういうと二人はありえないって顔をした。


.
「ど、どうしたの?」


私は、変にどもってしまった。


「蓮くんがかわいいなんて。ねぇ〜」


音がうたに同意を求めた。


「うん。そうだよ。蓮くんて。年下なのに大人びてかっこいいってのがウリなのよ。みんなにクールだし。かわいいなんてありえないよ」


「えっ?」


私は、びっくりした。


そういえば、私と蓮が一緒にいるとこ見られたの類くんぐらいだけどさ。


蓮とは、いつもどっちかの家で会うしね。


「蓮くんて好きな人の前じゃ違うんだ。」


音は、にやにやしながら言う。


「そうなのかな?なんか....違う気がする。」


私は、なんかどうでもよくなった。


嬉しいはずなのに、嬉しくない。


蓮がクールでかっこいいなんて。


私には、すべて見せてくれてないんだ。


だって、たまにそんな蓮が見たいよ。


なら、ビター系がよく似合うはず。


私は、挨拶をそこそこに帰った。
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