【短編集】communication
いつの間にか、類の家の前だった。


そのまま、類の部屋に連れてかれた。


「京子、俺に渡すものは?」


しれっと言う類にムカついた。


「私のなんていらないでしょ。」


強がりしか言えなかった。


「はぁ?京子のしかいらないし。」


なんで、嘘つくの?



「だったら、なんで?」


私は、類を睨んだ。


たぶん、もう涙目だった。


「京子?どうした?」


そんな私を類は、優しく抱きしめた。


普段なら嬉しい。


けど...


そんな優しさなんて、今はいらない。


私は、類の胸を押した。


「.....」


私は、無言であげるためにラッピングしたものを紙袋ごと投げた。


一生懸命つくったのに....


どうしても、素直に言えない。


類が困るのを承知でこんなことをしてるし。


頭の中は、なにも考えられないし。


心の中は、ドロドロの真っ黒。


どうしたら、いい?


ただの私のわがまま。


泣くしかできない。


私は、こんなにも類が好きなんだ。


改めて実感した。
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