【短編集】communication
そのまま私は、頼に連絡した。


「もしもし?」


「お〜、ココどうした?」


変わらない頼。


「あ、あのね。」


言いたいのに、どもってしまう。


「ココ、今どこ?」


後ろから音が聞こえたんだろう。


いつもは、私の大好きな曲をかけてるから。


「今は、駅だよ。今から、帰るの。」


「はっ?」


頼の声が低くなった。


不機嫌?


「頼、どうかした?」


「家には連絡してんのか?」


いつもそうだ。


もう言わなきゃ。


私は、優しくしてもらう資格がない。


「頼、私、裏切っちゃった。ごめんね。私、頼とつきあう資格ないよ。」


私は、声が震えた。


「......」


頼は、無言だった。


「じゃあ、バイバイ。」


私は、何も言わない頼を気にせず、電話を切った。


ゆいくんになんて言おう。


ちゃんと言いたかったのに。


無理だった。


優しくされるのがこんなに辛くなるなんて。


私は、頭の中でいろいろ考えていたら、家にすぐ着いた。
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