【短編集】communication
「大和、離れて。」


「ヤだ。」


ヤだって、子供じゃないんだから。


「はぁ」


私は、ため息をついた。


「今、詩歌を離したら、俺のじゃなくなりそうで。」


「どうしたの?」


意味が分からなかった。


「ずっと、疑問だった。詩歌が俺の前で素を出してくれないのが、けど、別れたくないから言えなくてさ。」


予定外。


大和は、はじめから私を見てたのかな。


「大和は、知ってたの?」


「俺、優柔不断でさ。いつも適当だった。けど、詩歌のそばにいたらさ。変われるって、けどさ。」


「私は、大和は誰でもいいって思ってた。たぶん、すぐ別れるからって。」


「俺は、詩歌が大好きだ。詩歌が嫌がっても別れる気はないよ。初めてなんだ。こんな気持ち。」


私たちは、お互いの気持ちを確かめ合った。


これからは、お互いの素で一緒にいようね。


たぶん、今までとは反対になっちゃうだろうけど。





end
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