ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
小絵は結城をこのままで… 気分を変えないようにと、 弾む会話を始めた。
-そうだと思いました。
そのブル-はイタリアの色 です!
他の国には無い色ですわ♪-
「君はやはり美術的な見かたをするんだね。
このシャツのブル-の色も、見分けるのだから 」
-私はイタリアに、もう3年も住んでいますから、
目ばかりが肥えてしまい、 でも、自分ではなかなか、
買えないのですから…
つまらないですわ -
「でも、君もそのうち、 有名ジュエリーデザイナーになって、
なんでも欲しい物が、手に入るようになりますよ 」
-そうだといいんですが… それは、並大抵のことでは 叶いませんわ -
小絵は言い終わり… …
ふうっ…とため息をついた。
そして、目の前に広がっているアマルフィの海へ目をやった。
その果てに見えている水平線は青白く光っている。
そして、その白い光りは
帯状に広がり、海と空を… 分けているのだ。
その光りの向こうには…
カプリ島がある。
そう思っただけで、小絵の胸はキュッと締め付けられていた。
小絵は日本人なのに何故か…そのカプリ島が…
懐かしく思えてならない。
それは、もしかしたら…
いつか夢に見た「ニンフ」 に会えるのかもということ…
あの時…
「もうすぐ会えるわ」
小絵の耳には、たしかに、そう聞こえていた。