ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
小絵の胸は早鐘のように、鼓動していた。
『なんだか不思議なだわ。 いつもなら、もっと気楽に弾けるピアノなのに…』
ピアノの蓋を、そっと持ち上げ…
『今のこの気持は、なんだろう……… 』
ピアノの鍵盤を愛しそうになでなから、そう思った…
『ほんとうに久し振りだわ!
この手触り懐かしぃ… 』
ピアノに向かった小絵…
おもむろに指を動かし、
ピアノを弾きだしていた。
タタ--ン♪
タ ……………♪
タタ-ンッ タ♪…♪…♪
「 ノクタ-ン♪
いいねえ… 」
『夜想曲 か………
意味深だなあ~♪』
結城は小絵の弾くピアノに近付いていた。
小絵の指をじっと………
見つめている。そのしなやかな動きに見とれていた。
小絵が弾いていたのは、 ショパンの曲
“ノクタ~ン 第二番”だ。
どうにか弾き終わり、小絵は結城に言った…
- じょうずに弾けなくて ごめんなさい。
でも、久し振りにピアノが弾けて嬉しいですわ♪
結城様、ほんとうにありがとうございました♪ -
「こちらこそ、ありがとう♪
カプリの最後には…ぴったりの曲ですね 」
- そんなふうに、
おっしゃられると…
恥ずかしいですわ。
私はこの曲が大好きなんです…
そして、私のおはこなんですよ …♪ -
「 とても良かったです♪ 感情が込められていて…
僕のような音痴な者にも、 何かしら…ブレイクしていましたよ ♪ 」
-ほんとうですか ♪
ブレイク…ねえ、
私もなんだか、今までとは違う気持で弾いてしまいましたわ …うまく言えませんが………-
小絵の胸が熱くて、結城をまともに見ることができない………
結城への思いがあふれそうな小絵…