ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
圭介は書いてはみたが、 おそらく妻は来ないだろう という方にかけていた。
啓子へ
成田空港で待っている。
僕は諦めないぞ!
飛行機に乗る直前まではね。
でも、もし君が来てくれなかったとしたら…
僕たち夫婦が共有した、
この、20年という年月は
いったい、何だったのだろう。
その時は過ぎ去った、
20年の全てが、
消えてしまうのだろうね-
妻への手紙には、
そう書かれていた。
感傷的になっている。
しかし、こんな手紙で妻の啓子が圭介を、振り向くはずもなく…
圭介は成田空港から、ミラノ行きの飛行機に乗るため向かった-
NH205便
出発時刻は10時20分だ。
1時間前には、空港に到着し、搭乗手続きを済ませ、
30分前には搭乗口のゲ-トに立っていた。
期待はしていなかったが、 振り返り確かめた。
やはり、妻の啓子の姿は… そこにはなかった。