ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
圭介は、おもむろに歩きだしていた。
搭乗口へと……………
ゲ-トの係員に航空券を渡し、機械で打ち込まれた、
航空券の半券を受け取ると、機内へと向った。
不思議なことに、ついさっき自動改札機を通過したのだが…
その瞬間、妻の啓子との長年に渡った、生活の全てを 忘れた。
忘れたというよりも、
むしろ-
消し去ったと言うほうが
正しいのかもしれないが-
そして、圭介を乗せた飛行機はイタリアのミラノへと 飛んでいた。
その先に、新しい出会いが待受けているとは、
思いもしない圭介だが-
座席に座り、目を閉じて考えていた。
夫婦の絆というものは、
なんてもろいものだろう-
子供を作り育ててみても、 そんなことは、
少しも味方とはー
ならなかったのだから。
結局は、男と女だ-
近頃は、妻と肌を合わすことも、全く無かったし、
圭介の父親が亡くなって、それ以来、妻の顔など-
まともに、見たこともない日が、続いていたのだから
気持は離れるばかりだった。