ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
ミラノの空
こんなにも簡単に、別れることが……
できるものなのかと、圭介は自分にあきれていた。
妻の啓子も、啓子だが…
積み木が崩れたとしても、後には崩れた、
積み木の端くれが残るものなのに、圭介と啓子の場合は、
そんな、端くれも形を残さず、ものの見事に消え去っていた。
圭介は、そのうち疲れたのか眠っていた。
その圭介に、そっと毛布を掛けてくれた女性がいた。
客室乗務員だ。
夢の中にいても、妻を待っているのだろうか…
その毛布を抱き締めるように眠っていた。
やがて、深い眠りから覚めた圭介は、
機内のアナウンスで、
もうすぐイタリアのミラノ空港に到着することを知った。
ここはイタリアだ。
日本からは、遥かに遠い空に来ているのだ。
今までの嫌なことは全て、 流れて飛んで行くような 気がしていた。