ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
ミラノの空



こんなにも簡単に、別れることが……

できるものなのかと、圭介は自分にあきれていた。


妻の啓子も、啓子だが…
積み木が崩れたとしても、後には崩れた、


積み木の端くれが残るものなのに、圭介と啓子の場合は、


そんな、端くれも形を残さず、ものの見事に消え去っていた。


圭介は、そのうち疲れたのか眠っていた。


その圭介に、そっと毛布を掛けてくれた女性がいた。

客室乗務員だ。
夢の中にいても、妻を待っているのだろうか…


その毛布を抱き締めるように眠っていた。


やがて、深い眠りから覚めた圭介は、
機内のアナウンスで、


もうすぐイタリアのミラノ空港に到着することを知った。


ここはイタリアだ。
日本からは、遥かに遠い空に来ているのだ。


今までの嫌なことは全て、 流れて飛んで行くような 気がしていた。



< 34 / 354 >

この作品をシェア

pagetop