ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
その男性が小絵に笑顔で-
「僕が、その旗に書かれている結城です!
お待たせしました- 」
-結城様お疲れさまでした。
はじめまして、私がガイドの桂川小絵です。
どうかよろしくお願い致します!-
「こちらこそ、お世話になります。桂川さんですか-いいご苗字ですね - 」
-あのう、奥様とお二人でとお聞きしておりましたが、
失礼ですが、お一人でいらっしゃったのでしょうか-
「それが、家内に急用ができましてね。
仕方なく僕一人だけで、
ということになってしまい、
しかも、飛行機に乗る直前だったもので、
連絡しませんでした。
すみません! 」
-いいえ、どう致しまして奥様に何かお悪いことが-
「いいえ!家内の親類に -不幸がありましてねえ」
結城は嘘をついていた。
まさか…
飛行機に乗る直前まで、妻を待っていたとは言えない。
自分では、その妻の啓子を払拭しているつもりだが、
他人から見れば、憐れに見えるだろう。
だから、本当の理由は…
誰にも言わない。