ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
まるで、そこからの景色はパノラマを見ているように美しい…
隣りの結城は、その景色に圧倒されてか、
無言になり、目を見据えていた。
そのうち、太陽はストンという音が聞こえるかのように…
夕焼けの山の後ろへと落ちていた。
あっという間の出来事だったが、その夕日は結城の瞼にも、焼き付いたのだろうか…
結城は満足そうに笑顔を、 小絵になげかけていた。
そのウ゛ィラを後にしたのは、もう午後の7時も過ぎてのことだった。
その足でフィレンツェのホテルへと帰ることにしたのだが…
帰りの車の中の結城は、かなり無口になっていた。
小絵は、結城のことが気にはなったが、
あえて結城に話かけるようなことはしなかった。
そして、ホテルに到着したのだが、
結城はというと、サッサと自分の部屋へと戻っていた。
先ほどの夕暮れを見て、少しメンタルになっているのかもしれない。
小絵は、どう接すればいいのか、わからなくて…
ただ結城からの電話を待っていた。