高校三年生
山岸エリと秋元早苗が,
必死に僕に走ってくれと頼んできた。
僕は足が遅かったけれども,今日の成績が良くて浮かれていたのかもしれない。
「山田クンが良いって言うなら走っても良いよ」
と,つい言ってしまった。
二人はすごく喜んで山田孝の元に交渉しにいった。
山田孝は,二つ返事でこれを了解し,僕が走ることになった。
うちのクラスからは二人走ることになっていて,もう一人は仲俣優という子だった。
仲俣優は,野球部で背も高くスポーツマンであったが,そんなに話したことはなかった。
ただ彼は去年もこの競技に出場していたので,僕より足が早いというのはわかっていた。