高校三年生
いよいよ最終種目の組別対抗リレーがやってきた。
全校生徒が注目するこのレースのプレッシャーに,僕は足の奮えが止まらなかった。
各クラスの代表が集まるので,明らかに普通のレースとは異質の空気だった。
誰かに変わって欲しいと祈ってるうちにレースがスタートした。
緑組は…早い。
一位で,女子のメンバーである山岸エリにバトンがわたった。
ぐんぐん差を広げ,彼女は秋元早苗にバトンを繋いだ。
その次が僕だった。
秋元早苗は,少しばかり遅れたが十分に差をもって僕に繋いでくれた。
ギャラリーの多さにビビりながらも僕はとにかく走った…走った。
100mも走った時,僕は異変に気がついた。
…あれ?
足が思うように動かない…。
プレッシャーで足がガクガクになってしまったのと,
走る種目が人より多くて,ダンスも踊った僕は,疲労がすごかったようだ。
走れない…抜かれる…。
そう思った時には,すでに抜かれていた。
せっかくの差を埋められ,少し遅れて仲俣優にバトンを託した。