高校三年生

僕はその場に座り込み,前走走者からどんな目で見られていたことだろう。


責任とふがいなさから涙が溢れて来た。もはやレースどころではなかった。


(カッコ悪い…期待に答えられなかった…。みんな,ごめん。エリ…ごめん。)


すると,歓声が沸き上がった。はっとして顔をあげると,仲俣優が半周したところで,



抜き返したのだ。



僕は,無意識のうちに気が狂ったように「優!」「優!」と叫んでいた。


そして仲俣優はそのまま一位でゴールテープを切った。



僕は,仲俣優のところにすぐさまかけより抱きついて,泣きながら「ありがとう」を連呼したのだった。


クラスの皆がワッーと集まって来て,仲俣優を讃えた。


今井雄介は「良いダシになったな(笑)」とおちょくられた。

そんな中,山岸エリが僕の所にやってきて


「お疲れ様♪」と言ってくれた。


「抜かれちゃったよぉ…優がいなかったら…」


と僕は半ベソをかきながら言った。



「山田クンが走ってたら,きっともっと差が開いてて抜き返せなかったよ♪俊介…ホントにありがと♪」


これ以上の幸せは絶対にないって言えるくらい嬉しかった。



その後,結果のわかってはいたがけども結果発表を聞き,


緑組の優勝の喜びをみんなで分かち合った。


さらには応援の部でも優勝していて,僕らは最高の気分で体育祭を終えたのであった。
< 15 / 22 >

この作品をシェア

pagetop