高校三年生
今井祐輔と僕は,お互いに隠し事をしない間柄であったが…
僕は,急な彼の質問に慌てた。
「なんで?」
と聞き返すのが精一杯だった。
「あんだけ堂々と仲良くしてるんだもん,そう思っても不思議はなくね?」
僕は言葉に詰まる。
少し仲良くなったからといって僕は少し浮かれていたのかもしれない…
正直な所,山岸エリのことが好きなのは事実だが,
仲良くなるにつれて友達にしか見えなくなってきている…
というのも事実であった。
そのことを思い切って今井祐輔に話してみた。
彼は黙って僕の話を聞いた後,
「俊介らしいな」と一言言って笑った。
今井祐輔は僕の隣の駅で降りる。
「今の俊介には何も言うことないけど,受験生っていうことをわすれんなよ。じゃあね♪」
と言い残して今井祐輔は下りていった。