高校三年生
予備校
教室に勢いよく飛び込んだ僕は,そのまま「起立!!」と教室中に響く声で叫ぶのだ。


号令当番であるからだ。


この学校は,2年と3年の間にクラス替えがなかったので,当番は引き継がなければならないのだ。


こう毎朝ギリギリなもんだからもう一人の当番に一度,朝と帰りの当番を変えてくれ!と頼んだこともあるが,「一度決めたことだから」と,相手にしてもらえなかった。


ちなみに,こんな僕でも遅刻だけは三年間で一度たりともしたことはないという不思議な現象がおきている。


それだけは,自慢だったが称賛してくれる者は誰もいなかった。



HRを終えて,一限のための準備をしているところに,


一年の時から同じクラスの今井祐輔が「俺,予備校〇ゼミにするわ」と,改まった口調で言ってきた。

受験まで一年を切った今,我先にと予備校に通う者がおおいのだ。


二年間を部活に…遊びに費やした僕らに推薦という道は用意されていなかったし,当初から得る気もなかった。



「〇ゼミか…あそこ講師がクソなんじゃないの?」とその話を聞いていた,杉田大輔が割って入って来た。



「いや,俺もそういう印象だったんだけど,体験授業行ってきたけど授業めっちゃわかりやすかった!」と,今井祐輔は嬉しそうに話した。



「予備校か…俺はまだ全く考えてないよ…」

僕はあくびをしながら言った。

「そっか,俊介も早く予備校見学でもいってこいよ」


そういって今井祐輔は,ロッカーに教材を取りに行った。
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