高校三年生
授業中ずっと予備校のことを考えていた。今井祐輔に,置いてかれた気がしたからだ。
僕のクラスは,内申で稼いで中堅大学に推薦で行くか,僕や今井祐輔のように部活に遊んだ奴がほとんどで,後者は一般受験に備えて予備校に通い始めるやつが多いようだ。
しかし,僕は8月まで部活があるために,予備校に通えるのは7時以降という厳しい条件が付けられていた。
7時30分から始まるクラスもある予備校もあることにはあったが,結局決めれずにいたのだった。
授業が終わると階段を降りて一階にある運動場へ向かう。
運動場といえば聞こえが良いかもしれないが,実際は天井まで約4メートル,広さはフットサルコートより若干小さいくらいの「ピロティ」と呼ばれる,人工芝の広場だった。
信じられないことに,毎日僕らはここでサッカーの練習をしている。土日には,北千住の河原のグランドまででかけていたが,平日はここで基礎練習に励んでいた。
この時期はインターハイ間近で,練習にも力が入っている。
が,僕の高校はサッカーが強いわけではない。
さらに,僕はサッカーがうまくない。
レギュラーになるかならないかくらいの位置で,正直楽しければそれで良いというような所もあった。