高校三年生

万全の準備をして望んだインターハイだったが,一回戦の格下相手に負けてしまった。


格下ということもあってみんなの心に隙があったのは否めなかった。


こんなんで終われるか!


僕らは気合いを入れ直し,最後の夏の大会にかけることにした。


ある日,サッカー部のキャプテンでもあり秀才の岡崎周一が,予備校の見学に行くと言い出したものだから,僕も着いていくことにした。



僕の高校からすぐ近くの△ゼミというとこだった。


YゼミやK塾とは違って,都内4つにしか校舎がないという小規模な予備校であった。



校舎は中々年季が入っており,綺麗とは言えなかった。



少人数制の授業体制がこの予備校のウリらしく,なるほど教室には10人弱の学生しか見られなかった。



授業は,講師が一人一人指名して問題を解かしていく,少人数ならではの授業スタイルであった。



僕はこのアットホームな雰囲気と,授業のわかりやすさに感激し,この△ゼミに入ることを授業後に即決したが,



岡崎周一はあまり好まないらしく,「俺は他の予備校にする」と言い捨てて,秋葉原で降りていった。
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