高校三年生
体育祭
5月に入ると体育祭の準備に追われた。僕は,今井祐輔や杉田大輔はもちろん,クラスの大半のメンバーで応援団をやることになった。
僕のクラスには,サッカー部員が3人いるが,僕と井上利弘は応援団に入り,副キャプテンでもある村井憲人は部活優先だといって入らなかった。
僕が入ったのは,皆で最後くらい思い出を作りたいと言う気持ちと,
何より1番の理由は…
山岸エリがいたからである。
彼女は,うちの高校の美女ベスト3に入ると言われているほどの美人であったために,
僕なんかが手の出せる女ではないというのは,重々わかっていたことなのだが…
彼氏がいるという噂も聞かないので,ひそかに狙っていた。
しかし,未だに僕は彼女とまともな会話をしたことがなかった。
応援団に入れば話をする機会を得られるかもしれない!と淡い期待を抱いていた。
というのも,彼女はソングリーダー部に所属しているために,ダンスの振り付けを考え,皆に指導する係を担当していたのだ。
とはいえ,機械的な会話はする機会はあったものの,踏み込んだ話をする機会は中々なかった。