嘘つきな彼と私。
両親は引っ越して来たばっかだからと言って
私を連れて挨拶をしにまわった
手を引かれ、転んでしまった私は
両親の言う事も聞かず
泣いていた。
そんな時
私よりも小さく
私よりも幼い顔をした少年が
「ねぇ、だいじょうぶ?」
と言って
私に
小さな手のひらにのせた
甘い、甘い飴をくれた。
あの時からだったと思う。
小さかった私が理解するのには
時間がかかったけど
たぶん
初めて会った時から
彼が好きだったんだと思う。
無邪気に笑う少年が眩しくて
年下だからと言って
私に遠慮なんかなかった彼への
「大好き」
が
「愛おしい」に
変わったのは
もう少し先の事−・・・