嘘つきな彼と私。



そのまま、どのくらいたったのか覚えていない。




ただ、私には


凄く、すごく



長く感じた-・・・

そして、苦痛だった。振りはらおうにもなぜかできない---・・・あんな場面を見てしまったから


もしかしたら、たったの30秒かもしれない



もしかしたら、5分だったのかもしれない






そして、



ふと、私の耳に









大好きなラブソングが聞こえてきた-・・・






この着信音は




陽からだ-・・・







すると、すぐに



ぱっと




浅田さんは私に巻き付いていた腕を





解いた。





「あっ・・・ごめん。」



それだけ言うと



浅田さんは逃げるように走って行ってしまった。




何だったんだろう?



今のは。




そんな事を考えながら




着信に出た




「もしもし。」




「今どこ?」



さっきと同じ言葉



だけど、いつもより声が低い気がする




急いでこえる




「今、会社内。」




「もう着いたから降りて来て。」




「うっうん。今行く。」




私はすぐわかった。


陽が不機嫌だって言う事が。


急いで下に降りる、私






胸にあるのは、疑問と不安。








疑問なのはなぜ陽が不機嫌なのか。




と陽が不機嫌の理由。





不安なのは


陽が私を邪悪に思っているかどうか。











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