一目惚れの君【短編】
一目惚れは一目惚れに過ぎない。
あれから1週間たって、あたしは日常を取り戻していた。
「こんにちわ!!」
後輩の元気な挨拶も、鳴り出す楽器の音も、あの人の足音をかきけしていた。
「晴紀ちゃん!!」
廊下で基礎していたあたしに後ろから懐かしい富岡先輩の声がした。
「こんにちわ!!」
笑顔で振り向いたわいいものの、それきり硬直状態。
なんで“神前先輩”がいるのよ!!?
「神前先輩っ!先に上行ってますね」
何いってんの富岡先輩…?
微妙な10メートルくらいの距離。
誰もいない放課後の廊下。