一目惚れの君【短編】
笑顔でドラムを刻む先輩。
見納めかぁ
あなたが指揮に夢中で本当に助かった。
大人の雰囲気が漂っているから、きっとあの人は三年生だろう
彼女だってきっといる
あの優しい真剣な眼差しなら、見ただけで近付きたくなる。
優しくされたら親しくなりたいと願ってしまうのだろう。
あたしは無謀な恋を一目惚れだけで済ませてよかったんだと思う。
かっこいいよ先輩。
『ありがとうございました!!!』
部員は最後の一音を響かすと、立ち上がって一礼した。
「行こっか」
「うん。」
志野と立ち上がって出口まで歩く。
沢山の観客がいたから結構込み合っていて、なかなか進めない…