一目惚れの君【短編】
ザザッと人の間から、さっきまで舞台にいた部員達が出口のホールに来ていた。
「ありがとうございました」と何度も頭を下げてキラキラの笑顔を振り撒く。
あの人がいないか、なんてキョロキョロ探していたら、すっかり志野とはぐれてしまった。
―――――――――グイ…
「痛いっ!!」
足を誰かに踏まれた痛さで思わず声を上げた。
「すいません!!」
あたしの足を踏んだ張本人はあの人。
ラッキーなんだか最悪なんだか
サラサラと流れていった恋心が一気に溢れだした。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫です!!」