アイオンとユーリア
大通りには死体がいくつも転がっており、
生きた人間の影も声もありません。

周囲で燃えている木造の家々は、次々と
焼け落ちていき、倒壊した家から熱風が
吹いて、少年の衣服に火の粉を散らし
ます。

アイオンは怒りに燃えて、中央広場に
辿り着きました。

メシアン教のファートス教会に面した
この広場には、いつもは露店が立ち並ん
でいるのですが、

今はすべて燃えていて、黒煙を放って
います。

そして眼前では、全身真っ黄色で、
頭に3本の角が生えた巨大ニワトリが、
教会の鉄の扉に向かって、

奇声を上げながら炎を吹きつけている
ところでした。
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