心ノ囁キ ーサヨナラのオトー
サヨナラ
「───……っ!!」
俺は、膝立ちになって ただ、泣いていた。
目の前で
1人の女が血まみれになって倒れている…。
左胸には、鋭いナイフが刺さっていた。
俺は何故、
守ってやれなかった…。
何にもわかってやれなかった…。
なんでお前がいなくならなきゃいけないんだ…。
戻ってきてくれよ……。
あの時みたいに
俺に笑いかけてくれよ…。
空はこんなにも青々としていて、
鳥達は綺麗なこの空を自由に飛んでいて、
ここから見える人々も、
自分の人生を今も一歩ずつ歩み続けているのに…。
俺の目の前で
自殺したこの女は…
俺を唯一理解してくれた、
俺の、片想いの女だ…。
『…ごめん…ごめんね…っ!!』
そう言って彼女は
死んでいった…──。
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