心ノ囁キ ーサヨナラのオトー
「いいじゃない。お互い様でしょ?それに、『阿木くん』ってなかんか変な感じだし。…あ。」
乃栄は、ふと思った。
普段 他人には敬語しか使わなかった自分が、
普通にしゃべれているのだ。
しかも、
今さっき会ったばかりの人に。
「ボケ」でさえも言ってしまった。
なんでだろう…と、考えた…
「ん?どうした?」
「…ううん。なんでもない。」
朔哉も、ちょっと
何かを考えながら言った。
「…お前さ…。」
「…何?」
乃栄がキョトンとしながら聞いた。
「あ…いや。…うん。」
乃栄が笑いながら「なにそれー。」と、
口を尖らせて言った。
すると朔哉は空を見上げて問いかけた。
「─…俺が…怖くねぇのか…?」
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