心ノ囁キ ーサヨナラのオトー
一瞬、表情を暗くした乃栄。
でも、すぐにパッと顔を上げて言った。
「…なんか似てるね。私達。」
「…は?」
「私と同じ。あなたは孤独に生きているように見える。」
乃栄も、どこか悲しそうに空を見上げた。
「…俺と似てる、か…。」
そんな朔哉を見ていた乃栄は
もうチャイムが鳴っていることに初めて気づいた。
「…もうそんな時間か。機会があったらまた会いましょう。」
そう言うと、立ち上がって髪の毛を縛りなおした。
「……。」
スカートを手で軽く払い、
本などを持って校内に戻ろうとしたのだが…
「…教室、行かないの?」
「…もう一眠りする。」
「あ、そ。」
ぼーっと突っ立ってる朔哉にそう告げると、
早足に教室に戻っていった。
そしてその日も
何事もなく終わった。
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