心ノ囁キ ーサヨナラのオトー
はっとして気がつくと、乃栄の顔の前で手を振っている朔哉がいた。
「顔色悪くね?大丈夫か?」
「あっ…大丈夫、うん。」
しばらく沈黙が続く中、あの場所まであとちょっとの所まできた。
「…結構遠いな。」
「あそこへ行けるなら、こんな距離、屁でもない。…ほら、着いた!」
長い坂道をやっと登ってきた朔哉が、乃栄の声を聞いて顔をあげた。
「お…すげーな…なんか。」
「でしょでしょ!?私の大好きな場所。」
着いたところは、乃栄が以前も来た自然公園。
「…あ。とりあえず、あのベンチに座ろ?」
朔哉が多少疲れていることに気がついた乃栄が、近くのベンチを指差した。
「あ〜!!やっと座れたあ。」
んぐぐ…と朔哉は腕を伸ばした。
「ほら。」
「あ?あ。サンキュ。」
朔哉が座って休んでる間に、素早く買ってきたお茶を渡した。
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