抱けないあの娘〜春〜
「…とにかく。明日も明後日もその先も、いくら泣いても寮に来られては困るし、可奈も仕事があるんだろう?僕の事を構うよりも、まず自分の事を考えろよ。途中で抜けたりしたら、撮影に迷惑掛けるってことくらいわかるだろ?」
「……うん。」
「可奈はずっと芸能界に憧れてて、これからがスタートなんだろ?こっちも寮生活で毎日真剣に甲子園目指して頑張ってんだ。だからお互いに目標に向けて頑張ろうぜ。な?」
「……わかった。頑張る。」
「わかってくれて何よりだよ。じゃあ切るから。元気で頑張れよ。」
「咲哉…優しいね。あたし…やっぱり咲哉の事好きだから!絶〜対あの女には渡さないから!覚えてなさいよ!!」
はいぃ〜〜〜〜!?
なんかまだ可奈があーだこーだと言ってたが、さすがに疲れたのでさっさと電話を切った。