抱けないあの娘〜春〜



でも…咲哉は…僕を信じてくれって。



私をずっと大切にするって。優しい笑顔と温かい腕の中で言ってくれた。



私だって…咲哉を思う気持ちは誰にも負けないんだから!!
俯いていた顔を上げ、コートの裾をぎゅっと掴んで勇気を出して叫んだ。



「あの…私はあなたと咲哉がどんなお付き合いをしてたのかは知りません。でも…私も…咲哉が好きだから…あなたには譲れません!」



「はぁ!?わからない人ね!あなたの気持ちなんて聞いてないの!」




しばらくお互いを睨み付け、沈黙が続く…






「おいおい、可愛い女の子二人で喧嘩かぁ?穏やかじゃないねぇ〜。ん?」

「そうそう、喧嘩はやめて俺らと遊ぼうよ〜♪」


睨み合う私達の間に知らない男の人二人組が割り込んできた。




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