抱けないあの娘〜春〜
男達に捕まる寸前のところで公衆トイレに駆け込み、縛られた手で何とか鍵を掛けた。
狭いトイレで私達を体を寄せ合い安堵のため息をついた。
が、それもむなしく追い付いた男達が、怒鳴りながらバンバン扉を叩いてくる。
すぐそばに迫る恐怖と全速力で走ったせいで足が震えてる。
可奈さんは立てないのか、うずくまって動けない。
咲哉…助けて…
「咲哉!!助けてぇぇぇっ!!」
私は必死に叫んでいた。