抱けないあの娘〜春〜
僕達はいつの間にか河原に着いていた。
国道沿いの大きな川には、幾つも大きな橋が架かっている。
「高村、こっちだ!」
諏訪キャプテンは何かを思ったのか、一番大きな橋を目指して走り出した。
「最近、この辺りで不審なワゴン車を乗り回し、街を歩く女の子達に声掛けて連れ去る奴らがいるって聞いてる。もしかしたら…」
諏訪キャプテンの顔が一層厳しくなった。
まさか…
溢れ出てくる不安を吹き飛ばしながら、諏訪キャプテンの後を追いかけ橋を渡った。
さつき…無事でいてくれ!