抱けないあの娘〜春〜
橋の向こう側の河川敷に着くと、黒いワゴン車がものすごい大音量の洋楽を掛けながら停まっていた。
中を覗くと、裳抜けの空だったが、白いバッグが落ちていて、中身も散乱していた。よく目を凝らして見ると、プリクラの貼られた手帳があった。
さつきのだ…こないだ二人で撮ったプリクラを、嬉しそうに手帳に貼っていたのを思い出し、体が凍りついた。
もうひとつ、ブランド物のバッグも落ちていて、化粧品などがばらまかれていた。
他にも誰かいるのか?
辺りを見回す。
さつき…どこだ!!
すると遠くの公衆トイレらしき場所で、男達が何か叫んでいた。
「諏訪さん!!あそこだ!!」
諏訪キャプテンが警察へ今の場所と状況を連絡し、僕達は男達の所へ向かった。