抱けないあの娘〜春〜
近づいていくと、男達の罵声の中に女の子の声が聞こえる。
「……哉!!咲哉助けて!!咲哉…助けてぇぇぇぇっ!!」
さつきの声だ!!
諏訪キャプテンと顔を見合わせ、僕達は猛ダッシュでさつきの元へ向かった。
あいつ等を殺してやりたい。暴力沙汰で野球が出来なくなっても、退学になっても、さつきを助け出さなきゃと思った。きっと諏訪キャプテンも同じ気持ちだったに違いない。
ここでさつきを守れなきゃ、死んだ方がマシだ。