抱けないあの娘〜春〜



「お前ら何やってんだ!!」



「てめえらぶっ殺すぞ!!」



鬼と化した僕達に怖いものは何もない。



僕らのあまりの気迫に驚いたのか、ビビった男達は蜂の子を散らすように逃げて行った。諏訪キャプテンはものすごい形相で追い掛けていく。あの人を怒らせたら地の果てまで逃げられない。



僕は肩で息をしながらトイレの方を見ると、中はしんと静まり返っている…



僕はそっと近づいて、静かにノックした。



応答が無い。



「さつき?いるのか?僕だよ、咲哉だよ。もう奴等はいないから安心して出ておいで?」




しばらくして、カチャリとドアが開いた…




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