抱けないあの娘〜春〜


「あの…さ、守ってくれて…ありがとう。あたし…酷いことばっか言ってたのに…」


「ううん、いいの…私ね、可奈さんが一緒じゃなかったらあんな勇気出せなかったと思うの。もし私ひとりだったらと思うと…ゾッとしちゃう!」



お互いに顔を見合わせて笑った。



「もうあなたには負けたわ!咲哉は譲ってあげる。もう邪魔しないから安心して?そのかわり…」



「あなたのお兄さん紹介して!イケメンだし、力強いし…もうこれは運命だと思うの!!」



はいぃ〜〜!?



と叫んだのは諏訪キャプテン!


「ちょっと待て!運命って勝手に決めんな!俺は甲子園という目標があるんだ。女はいらん!!」



「あ〜ん♪そんなつれない言い方も格好いい!ねぇ〜お試しでもいいから〜!あんなに優しく抱きしめてくれたじゃない!責任取ってもらいますからね!!」


ゴロニャンと可奈が諏訪キャプテンにまとわりつく。


「ちょっ…くっつくなっつーの!!」



また壮絶なバトルが始まりそうだ…でも…諏訪キャプテンもまんざらでもなさそうだけど?ま、ほっとこう♪


「さつき、行こっか。」


「うん!!」



僕達は手を繋いで走り出した。



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