抱けないあの娘〜春〜



しばらく抱きしめていると、さつきの寝息がスースーと聞こえてきた。



今日は色々ありすぎて、相当疲れたちゃったんだな…っておいっ!!



この状態で寝ちゃうか!?



そりゃないよさつき〜!!



仕方無くさつきを抱き上げ、ベッドに横たわらせる。


艶やかな黒髪が顔に掛かっているのをそっと外し、眠るさつきを見つめた。


透けるような白い肌に長い睫毛、赤い小さな唇。



すやすや眠るさつきは白雪姫のよう。


僕だけのものにしたい。


誰にも渡したくない。


僕は白雪姫に口づける王子と言うより…赤ずきんを襲う狼のように、さつきに顔を近づける。




いただきます…





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