抱けないあの娘〜春〜
慌ててグラウンドへ行き、さつきの元へ走り出した。
ここは…僕達の出会いの場所でもあるんだ。大きく手を広げ、僕を待つ天女。
僕は駆け寄り、さつきをぎゅっと抱きしめた。
いつもの甘い香り…
「さつき…どうしてここに?」
「田村さんが迎えに来て、私をここへ連れてきてくれたの。咲哉のお父さんとお母さんから、咲哉へ届け物をして欲しいって頼まれてね。」
届け物を?
さつきに差し出された手紙を開いてみる。
「咲哉へ。甲子園出場おめでとう。本当に頑張ったな。お前は私達の自慢の息子だよ。田村を貸すから、ゆっくりさつきちゃんとデートしておいで♪ちなみにさつきちゃんのご両親の了解と、寮には外出許可取ってあるから大丈夫だよ〜♪どうぞごゆっくり♪気の利く父と美しい母より。」
マジで!? 僕はサプライズなこの両親のプレゼントにニヤニヤが止まらない…