抱けないあの娘〜春〜



「……咲哉ぁ…本当におめでとう…グスッ…」




僕の腕の中で肩を震わせながら泣くさつきを、もっと強く抱きしめた。



出会った日、紅梅の木の下で、初めてさつきを抱きしめた時とは違う。さつきは今、僕の腕の中にちゃんといるんだ。




さつきを大切にしたい。


ずっとそばにいたい。


絶対…誰にも渡さない。


僕だけのさつき。


もう…限界だよ…



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