抱けないあの娘〜春〜
男の人が苦手と言うより、免疫が無いさつきだった。


でも、あんなに他の男の人を寄せ付けたがらない菖汰が、何故高村さんに私を送らせようとしたのかな…



高村咲哉さん…
一つ年下の温かい胸の持ち主。私をすっぽり包んでしまう長い腕と大きな手。すらりと高い背。茶色かかった柔らかい髪と瞳、端整な目鼻立ちが、帰りの外灯の灯りでさらに引き立っていた。


素敵な人だったな…



でもきっと、方向音痴で泣き虫の私に呆れてるんだろうな…



何だか悲しくなってしまい、さつきは湯船に顔を埋めた。
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