抱けないあの娘〜春〜
美しい天女に対し、どう接していいのか全くわからない。
彼女の事を考えると、苦しくなる。胸が張り裂けそうだ。まだ彼女のこと、何も知らないのに、彼女の全てを僕のものにしたくなる。
ただ知っているのは、名前と諏訪先輩の姉だってことだけ。
僕は返しそびれた彼女のハンカチを、夜風になびかせ見つめていた…
「咲哉?」
坂出が心配そうな顔で屋上に来た。
「お前湯上がりだろ?風邪引くぞ。部屋になかなか戻らないし…どうしたんだ?さっき真咲からメールで来週の夕食何食いたいか聞いといてって言われたから。真咲、来週引っ越しだから、俺もお前の家に招待されたよ。」
「ああ…真咲、もう宝塚へ行っちゃうんだったな。そうだな、お袋のパエリア食いたいって伝えてくれ。あと真咲の作ったやたら固いクッキーも。しばらく食えないからな。」
「あ、あれはあれで美味いと思うぜ?噛みごたえがあって俺は好きだ。」
「ナッツ入りのはさらに固いからな。真咲は幸せだな。お前が真咲の作ったものを残してるの見たことない。腹大丈夫か?」
「俺は真咲の作ったものなら何でも美味いから。」
こいつ…
そんな台詞をサラッと言えてしまう坂出に少しイラついた。まぁ、ただの八つ当たりなんだけど。
坂出とは小学生からの腐れ縁だが、ガッツ溢れるプレーや真意に練習に打ち込む姿に指導者達の信頼は厚かった。
真っ直ぐで温厚な性格、幼い頃から真咲だけを好いていた坂出に真咲は惹かれた。
「なぁ、坂出。…一目惚れって信じるか?」
いきなりそんな話をされた坂出は、顔を真っ赤にして
「な、なんだよ急に。一目惚れか…俺はした事無いけど、今まで知らなかった人を一目で好きになるってことは、きっとこれからの日々に何か答えや意味があるって思うな。上手く言えないけど…」
その言葉に僕は何だか気持ちが楽になった気がした。
(何か答えや意味がある…か。)
その答えが、輝かしいものである事を期待しながら、手にしたハンカチをそっと握りしめた。
彼女の事を考えると、苦しくなる。胸が張り裂けそうだ。まだ彼女のこと、何も知らないのに、彼女の全てを僕のものにしたくなる。
ただ知っているのは、名前と諏訪先輩の姉だってことだけ。
僕は返しそびれた彼女のハンカチを、夜風になびかせ見つめていた…
「咲哉?」
坂出が心配そうな顔で屋上に来た。
「お前湯上がりだろ?風邪引くぞ。部屋になかなか戻らないし…どうしたんだ?さっき真咲からメールで来週の夕食何食いたいか聞いといてって言われたから。真咲、来週引っ越しだから、俺もお前の家に招待されたよ。」
「ああ…真咲、もう宝塚へ行っちゃうんだったな。そうだな、お袋のパエリア食いたいって伝えてくれ。あと真咲の作ったやたら固いクッキーも。しばらく食えないからな。」
「あ、あれはあれで美味いと思うぜ?噛みごたえがあって俺は好きだ。」
「ナッツ入りのはさらに固いからな。真咲は幸せだな。お前が真咲の作ったものを残してるの見たことない。腹大丈夫か?」
「俺は真咲の作ったものなら何でも美味いから。」
こいつ…
そんな台詞をサラッと言えてしまう坂出に少しイラついた。まぁ、ただの八つ当たりなんだけど。
坂出とは小学生からの腐れ縁だが、ガッツ溢れるプレーや真意に練習に打ち込む姿に指導者達の信頼は厚かった。
真っ直ぐで温厚な性格、幼い頃から真咲だけを好いていた坂出に真咲は惹かれた。
「なぁ、坂出。…一目惚れって信じるか?」
いきなりそんな話をされた坂出は、顔を真っ赤にして
「な、なんだよ急に。一目惚れか…俺はした事無いけど、今まで知らなかった人を一目で好きになるってことは、きっとこれからの日々に何か答えや意味があるって思うな。上手く言えないけど…」
その言葉に僕は何だか気持ちが楽になった気がした。
(何か答えや意味がある…か。)
その答えが、輝かしいものである事を期待しながら、手にしたハンカチをそっと握りしめた。