抱けないあの娘〜春〜
全くもう3月末だってのに、グラウンドは春の空気どころか、雪でも降るんじゃないかって位空はどんよりし、空気は冷たかった。


ランニングに柔軟体操、一通りの基礎練習を終えたらやっと汗をかいてきた。


「次、キャッチボール!!その後各ポジションに別れてシートノックな!!」


キャプテンの諏訪さんが声を張り上げる。


「うっし!!」


坂出とキャッチボールをしていたら、突然物凄い突風が起き、僕は目の中に砂が入ってしまった。


「坂出、悪い、ちょっと顔洗ってくるわ。」


急いで水飲み場に向かう途中、また突風がやって来た。

「んだよ!!面倒くせーな!!」

と目を擦った瞬間、僕はいるはずの無い影を見た。



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