抱けないあの娘〜春〜
その突風の中に、いるはずの無い影を僕は痛む目を凝らして見た。


だってここは野球部のグラウンドだぜ?


何で必死に風に翻るスカートを押さえる女の子がいるんだ?


すると影が二つになった。

よく見えない僕は、慌てて顔を洗い、その二つの影の方向を見た。



僕は息を飲んだ。



「…なんて綺麗なんだ…」



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