ラフ・メイカー
普段、訪れることのない来客にピントは相変わらず浮かれている。
 
「なぁなぁ、兄ちゃん。兄ちゃんはどっから来たんだい?」
 
「こら、お兄さんでしょ?」
 
ベルに頬をつままれ、ピントは足をじたばたさせている。
 
「良いんですよ。礼儀なんてたかが作法ですから。私はベルグラントから来ました」
 
ベルグラント――
 
その地名を聞いた瞬間、ベルは固まってしまう。
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