‡パルソナ‡ 孤高の唄姫
珍しく声を荒げたレイの顔はひどく焦ってるようにも見える。
あたしはそんなレイを見て、目を大きく見開いた。
いつも冷静で笑顔しか浮かべないレイ。
そのレイが怒りや焦りを露わにするのを初めて見たから。
「だ、大丈夫だって!!こんなけが、ただのかすり傷と同じようなもんだしッ!」
「それじゃダメなんです!!」
レイはそう言うと急にあたしを自分の胸に引き寄せた。
そして、力強く抱きしめられる。
え………
またまたレイの急な行動に、あたしの頭が一気に真っ白に染まる。
「…お願いだから、無茶をしないでください。
僕は、あなたに傷を負って欲しくない…」
レイの消え入るような声が耳にかかる。
あたしは顔がカイロみたいに熱くなるのを感じたけど、このまま抱きつかせとこうと思った。
あたしは此処にいるよ、
そう安心させるために…
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