‡パルソナ‡ 孤高の唄姫


「お前…

この状況で何バカ女に抱きついてやがる…」



いつも以上に低いノエルの声が聞こえる。


ノエルの機嫌が悪いのは、声の調子で分かった。


そんなノエルの声にも動じず、レイはあたしを離そうとはしない。


「ノエルは戦いに集中してくださいよ。またライオスが襲ったきたらどうするんですか?」


「お前らがそんなことしてるから集中出来ねぇんだよ!さっさと離れろ!!」


レイはさすがにそれはマズいと思ったのか、渋々あたしを体から離す。




いまだにあたしの心臓はドキドキしていて、顔も熱い。



だって抱きしめられることなんてそう何回も経験するもんじゃねぇもん!!





だんだん落ち着いてきたあたしは立ち上がり、ライオスのいる位置を確かめる。


ライオスはノエルが向けている剣先にいた。


ライオスはあたし達に相当警戒心を向けている。



歯をむき出し、威嚇をし始めたライオスをあたしは、静かに見つめる。


そしてあたしは、近くに落ちてたパルソナを握りしめると、ノエルの隣に歩み寄った。


「下がってろ。今のお前じゃアイツは倒せねぇ…」


ノエルはあたしを横目にそう告げる。



でもあたしは、ライオスの過去をすべて見た時から、決めたんだ…




「ライオスはあたしが助ける。」




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