‡パルソナ‡ 孤高の唄姫


「でもお前、バカ女と闘った時の傷があるじゃねぇのか?」



「あっ、確かに…」


二人の視線がライオスに向けられる。


その質問にライオスはヘラヘラと笑って答えた。


「それは、大丈夫や。死ぬ痛みに比べれば、こんなん序の口序の口!!」



そしてライオスは黒い翼を目一杯広げ、さっきよりあたしを力強く抱き寄せた。



もう飛ぶ気満々じゃん!!



「お嬢ちゃん、目閉じといてや」


「もう目閉じてる!!」


そう言った瞬間、あたしは何とも言えない浮遊感を感じた。


そして、顔に向かい風が容赦なく襲いかかった。


「ギャァアァァァア!!!」


あたしは女の子の欠片もないような悲鳴を上げ、ライオスの衣服をギュッと握りしめる。



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