‡パルソナ‡ 孤高の唄姫



あたしはぼーっと二人の姿を見つめていると、


「会場に行かなくていいのですか?」


とレイに尋ねられた。



その問いにあたしは「えっ?」と声を上げた後、俯いて考え込んだ。



そりゃ行きたいけど、なんかこう行きづらいんだよな…



「うーん…」


未だ頭を抱えたまま決断をしないあたしの手首を、誰かが強く掴んだ。



……は?


顔を上げると、ノエルが意地悪そうな顔をしてあたしを見つめている。



な、なんだよその瞳は?


「行きたいんなら、さっさと行くぞ」


「えっ、ちょっ!」


あたしは転ばそうになりながらも、ノエルと螺旋階段を下りていく。



ノエルの手を引く力が強くて何回か階段から落ちそうになる。


なんで急にこんなに積極的になったんだ?


確かノエルはパーティーが嫌いなはず。




何か企んでるとしか言いようがない。


これはあたしの考えすぎか?


そんな考えが頭に浮かぶと、ノエルはあたしの方を振り返り、小さく舌を向けた。


コッ、コイツぅ…


やっぱりなんか企んでる…



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